午後の曳航 読了 三島由紀夫

●新潮文庫
午後の曳航
三島由紀夫
全195頁
460円+t

船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは......。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実の挑戦であった。登は仲間とともに「自分の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の目がえぐる傑作。(背表紙あらすじ)






やっと読み終わりました。三島由紀夫。
長かったなぁ......。


感触としては、子供が大人の社会に反撃をするというよりかは子供らしさを大人の世界にねじ込んでゆく、という感じでした。
見る立場にもよるとは思いますが。
宗田理の『ぼくらの七日間戦争』みたいな反抗期感はあんまり無いですね。

視点は多様で、中学生の登のほかその母親の房子や竜二など。
思考や観察眼が幅広く鮮明に描かれていた点がすごいなぁと感じたところです。
年齢性別職業みんな違うのに完全に視点が多角的で、これは三島由紀夫の生き様だろうなと。
初三島由紀夫作品だったのですが大変満足しました。


この本は前のサロメ同様、尊敬する先生から勧めていただいたものです。

読み終わらないと理解できず、でも集中して読まないと意味がわからなくなる。そんな本を勧められているのでしょうか。楽しいです。


文体は教養のない私にとっても読みやすく、ページ数もさほど無いので電車内読書にぴったりでした。

ただ難しい...!疲れた...!

先程述べたように、視点が多角的なため感情移入しがちなタイプ、読みながら考え込むタイプの人にとってはなかなかページを繰れない表現の掘削でした。


でもたしかに大学生になったら、自分のために読むべき本書でした。

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